カップル7組に1組が不妊の時代!結婚前にブライダルチェックを男女ペアで受けましょう!
奈々(看護師):最近、テレビや雑誌で「赤ちゃんが欲しい!不妊と戦う夫婦に密着」的な特集をよく目にするんですが、不妊治療って数年単位の時間が必要だったり、治療内容によっては1,000万円を超える費用がかかったりするんですね。
不妊治療に専念するために仕事を辞めざるを得なかった奥さんが、心身の共に疲弊してうつ病になってしまい、結局は途中で妊娠は諦めた事例をテレビで見て、改めて大変だなぁと思いました。
雅治(クリニック院長):うん。同じ番組かどうかはわからないけど、数年前にNHK「クローズアップ現代」で不妊治療がテーマになっていて、僕も真剣に見てた記憶がある。
一昔前はカップル10組に1組が不妊とされてきたけど、現在は7組に1組が不妊とまで言われている。僕たちの母親の世代は結婚・出産が早かったけど、現代の女性は晩婚化の傾向にあるから、不妊症と診断された場合、残された時間が少ないこと、そして同じ原因でも若い時に比べて治療に要する時間が長期化する傾向があるんだ。
そうした不妊の原因となる病気の有無を調べたり、早期治療を目的として始められたのが、"結婚前の女性の新常識"や"エチケット"といわれている「ブライダルチェック」なんですね。
ブライダルチェックって名前は頻繁に見聞きするんですが、具体的には何をするかわからない女性も多いんじゃないでしょうか? 検査内容とか気になる費用とかはどうなっているかとか…。
まず婦人科医の医師が、過去の病歴、初潮の年齢、生理周期、生理痛、性交痛、不正出血の有無などを訊く「問診」を行うよ。次に妊娠や出産に悪影響を及ぼすクラミジア、淋病、梅毒、HIV感染症(エイズ)、B型肝炎、C型肝炎、風疹、貧血などの病気を調べるために「血液検査」を行うんだ。
これらの病気は自覚症状がなかなか出ないので、発見された時にはかなり進行していて自然妊娠が難しくなってしまったり、母子感染のリスクがあるものも含まれている。
ブライダルチェックで一番大切な検査は、外陰部や膣内の様子を観察したり、ブラシや綿棒で子宮頸部の細胞を採取し、子宮頸がんを疑わせる細胞の異常がないかを確認したり、オリモノを採取してクラミジア、淋病、膣カンジダなどに感染していないかを調べる「内診」なんだ。
内診台に座って下着を脱いだり、子宮頸部や膣内を観察する際に「クスコ」と呼ばれる器具を挿入したり、子宮の形状や硬さ、卵巣の腫れなどを確認するために医師が膣内に指を入れる必要があるから、女性にとってはかなり抵抗感があると思うんだ。
実際、婦人科の受診の妨げになっている一番の原因がこの内診と言われているんだけど、自身と赤ちゃんのためにもなんとか頑張って受けてほしい。
僕も30歳を過ぎてから泌尿器科で外科的処置を受けた際、看護師さんにペニス周囲の剃毛をしてもらったから、恥ずかしいという気持ちは十分にわかるけどね。
そのほか、超音波検査で子宮や卵巣が妊娠可能な状態にあるかを確認したり、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣がん、子宮頚がんを調べたりする。超音波検査はX線撮影と異なり、放射線の被爆はゼロで診断も簡単だから安心だよ。
これらの検査項目は"基本コース"なんだけど、忙しくてこれまで健診や人間ドックをを受ける機会が少なかった人を対象に、各種生活習慣病や乳がんを調べる"オプションコース"が追加できる医療機関も最近は増えてきた。
へ〜検査内容は豊富なんですね。近い将来に結婚・妊娠の希望がある女性は勿論、健診の受診率が低い自営業やフリーランスの方にも、自身の健康状態を把握するうえでピッタリの検査ですね。でも、お高いんでしょう?
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ブライダルチェックの費用(料金)は、受診するクリニックや検査項目の数によって大きな差があるから一概には言えないけど、おおよそ2万円から5万円といったところかな。
ブライダルチェックは既に病気が疑われている人ではなくて、健康な人が対象なので、健康保険が適用されないんだ。この点は人間ドックと同じだよね。だからどうしても他の検査に比べて費用は高額になりがちなんだ。
でもブライダルチェックは基本的に1回しか受けない検査だから、万が一不妊につながる病気に罹っている場合のことを考えると、決して高くないと僕は思うけど、どうだろうか?
ブライダルチェックを受けないで、結婚してから数年後に不妊の原因となる病気が発見された場合、無症状のままかなり進行していて外科的処置が必要になったり、治療にはかなりの時間を要することがあるんだ。
その結果、完治した頃には今度は年齢の関係で出産が難しくなったり、第一子は大丈夫でも、第二子以降は時間的に余裕がないということも考えられるよね。
なるほど〜。ところでブライダルチェックを受けるのは女性だけでいいんですか? 不妊の原因って、女性が40%、男性が40%、原因不明が20%と言われているので、男女は同じ割合ですよね。
それなのに男性が不妊に関係する病気を結婚前に調べたという話は聞いたことがないんですが…。それとも男性を対象としたブライダルチェックは存在しないのですか?
いい質問だね。結論から先に言うと、男性のブライダルチェックはあるし、受けた方がいい。奈々ちゃんの言う通り、不妊原因を男女別で見た場合、その割合は同じなんだよ。例えば男性の場合、淋菌感染による尿道炎を放置していると、精子を蓄えたり、熟成に大事な役割を果たしている"精巣上体"という場所にも炎症が拡大してしまうんだ。
これを「精巣上体炎」というんだけど、放置していたり治療が遅れたりすると、精液の中に精子が全く含まれない「無精子症」が起こって男性不妊の原因となるんだ。
男性不妊の原因として最も多い性感染症は、この淋病なんだけど、クラミジアの感染を放置して"輸精管"(精子を運ぶ管)が炎症によって閉塞して無精子症になることもあるんだ、
男性のブライダルチェックは、これら性感染症の有無のチェックだけでなく、血液検査でテストステロン(男性ホルモン)といった精子を作るのに必要なホルモンの数値を調べたり、精子の活動量や奇形率を調べたりできるんだよ。
最近は婦人科で男女ペアで一緒に受けるブライダルチェックのコースも登場しているから、二人と将来の赤ちゃんのためにも是非受けてほしいんだ。