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淋菌が嘲笑う!「オーラルセックスをする女性の喉は俺たちの最高の隠れ家や!」
雅治(クリニック院長):淋菌の奴ら遅いな〜。約束の時間は15時なのに、もう10分も過ぎてるぞ。クラミジアは「ああ見えても時間は正確な奴らだから」とか言ってたのに…。
どこかに寄り道して若い女性に感染してなきゃいいけど。午後の診察が16時に始まるから、あんまり遅いと…。おや、なんか賑やかな関西弁が聞こえてきたぞ、これはもしや…。
淋菌:ガチャ!(ドアを開ける音)Hey You!リンで〜す♪ キンで〜す♪ 2匹あわせて、「淋菌パーク」で〜す!…ってアレ、その冷たい視線はナニ…?
奈々(看護師):あなたたち、そのネタを続けてたら本家のリンキン・パーク(Linkin Park:アメリカの人気ロックバンド)のファンに殺されるわよ。あーあ、ようやく暖房が効いてきたと思ったのに、また診察室内が寒くなってしまったわ。
それであなたたちが、あのクラミジアの"弟分"にあたる淋菌ね。女性ではクラミジアについで感染報告者数が多い性病と聞いているから、随分多くの人に迷惑をかけているのね。
ウチらが"迷惑"やと? ネーチャン、どこが迷惑やねん? 確かに男性に淋菌が感染して尿道炎を発症した場合、排尿時に刺すような激しい痛みや灼熱感があったり、ペニスから膿が出るなどのハッキリとした症状が出ることが多い。これは認めたる。
でもな、女性に感染した淋菌の半数以上は自覚症状が全く現れないんや。つまり痛くも痒くもないねん。なんらかの症状がある残り半分のケースも、せいぜいオリモノの量が少し増えたり、膿の混じった分泌物がたまに出る程度なんやで。
性病の中ではむしろ症状は少ないほうや。ウチラは堅気の皆さんには極力迷惑をかけないから、性病界では"最後の良識派"として知られてるんや。
君たちが言うように女性は自覚症状は少ない。しかし、症状が現れにくいということは、知らないうちにセックスをしてパートナーの男性も感染させてしまうリスクがあるということなんだよ。
本人が感染の事実に気付かずに、適切な治療を受ける機会を逃していると、子宮頸管炎だけでなく、卵管炎、子宮内膜炎、骨盤内の炎症などを起こしてしまい、最悪の場合は自然妊娠が難しい状態(不妊)になったり、子宮外妊娠につながることもあるんだ。
また男性は泌尿器科の受診が必要だと自覚できる症状が出るため、尿道炎の段階で治療されるケースが大半だけど、放置していると尿道内の淋菌がどんどん奥の方に感染していき、精巣上体炎を起こすリスクがある。
この精巣上体炎は男性の不妊の最大の原因である無精子症につながることがあるため油断は禁物なんだ。君たち淋菌は、これでも胸を張って"良識派"と名乗ることができるのかい?
なんや、先生には全てお見通しというわけでっか。そうや、ウチら性病も生きていくためには、キレイごとばっかり言ってられんのや。自己矛盾と向き合いながらも生きていかなあかんのは、アンタら人間の世界でも同じやろ。
クラミジアの兄貴から既に聞いとるかもしれんが、ついでに言うとくと、淋菌に感染している男女の約20%はクラミジアにも感染しとるっちゅう話や。
性病は単独感染ならなんとかなっても、複合感染になると治療期間も治療薬も異なるからホンマ手ごわいで〜。"1本の矢は容易く折れるが、3本束ねた矢なら…"という毛利元就が息子たちに残した家訓と同じやな。
膣分泌液を採取して淋菌を調べる際には、クラミジアの有無も一緒に検査するのはそのためなんですね。
あと先生、最近はうがい液を採取して喉を検査している患者さんが増えていますけど、淋菌が喉に感染する女性が増加傾向にあるんですか? 淋病の治療ガイドラインなどには、性器の感染者の約10〜30%に喉の感染も確認されると書いてありますけど。
そうなんだ。ハッキリ言うと"急増"している。主な原因は、口で男性のペニスを愛撫するフェラチオなんだ。フェラチオという口を使った類似性行為は、従来、AVや風俗(主にピンサロ)など一部の限られた世界でしか行われていなかったんだよ。
しかし、そのフェラチオは普通の男女間のセックスでも普通に行われるようになり、日常的にフェラチオをしている女性は半数以上もいるんだよ(統計:北村邦男 日本人の性意識・性行動調査より)。
つまり、ペニスに淋菌が感染している男性に対してフェラチオをすると、女性の喉の粘膜にも淋菌が感染してしまうわけなんだよ。淋菌の認知度は若い女性の間でも決して低くはないけど、喉に感染するという事実を知っている人は断然少数派。
だから、喉が赤く腫れたり、喉がイガイガするなどの違和感があったしても淋菌の感染とは思っていない。せいぜい「風邪のひきはじめかも…」程度の認識なんだ。
全く症状がないこともあるので、彼氏がせっかく淋病を治療しても、再度感染させてしまうこともあるし、セックスパートナーが複数いる女性ならば、知らないうちに大感染源となっているケースも十分に考えられるんだ。
子宮頸管の感染の有無は膣分泌物を採取する必要があるから、女性にとっては心理的な障壁が低い検査方法とはいえないよね。でも喉の検査はうがい液を採取するだけだから、心身の負担も少ないんだ。
「なんだか、喉の症状がいつまでたっても治まらないな〜」と思っている女性で、フェラチオに心当たりがある人は婦人科や耳鼻咽頭科で検査を受けてみてほしい。
先生が言うたとおり、今の若いネーチャンは喉の感染には無頓着や。そのおかげで俺たち淋菌は、子宮に感染した時のように「そろそろ感染がバレるんじゃないか?」と不安な日々を送る必要は全くない!
ホンマ、女性の喉はウチラにとって最高の隠れ家や。厚生労働省の「感染症発生動向調査」によれば、淋菌の感染者数が最も多いのは、25〜29歳の女性、次いで多いのが20〜24歳の女性なんや。フェラチオをしているこの年代のネーチャン、これからも贔屓(ひいき)にしてや!
この調子で行けば、いつかは感染者数でクラミジアの兄貴を抜いて、淋菌がナンバーワンになるのも決して夢やないで!
蓮舫のオバハンに「2位じゃダメなんですか!?」と言われたら、言い返したるで。「ナンバーワンにならんと見えない世界っちゅーもんがあるんや!」と。
ホント、よく喋る菌だね。クラミジアと淋菌の感染者数には大きな開きがあるから、そう簡単に順位がかわることがないと思うけどね。
ただし淋菌で大きな問題となっているのが、薬が効かない"薬剤耐性菌"の存在なんだ。かつて淋菌にはクラビットやミノマイシンといったニューキノロン系およびテトラサイクリン系の抗菌薬が特効薬だったんだけど、現在では淋菌の約80%がこれらの抗菌薬に対して耐性を示すようになってしまった。
医療現場で多くの患者さんに対して有効性が確認されており、なおかつ保険が適用される抗菌薬は、セフトリアキソン(ロセフィン)、セフォジジム(ケニセフ)、スペクチノマイシン(トロビシン)という3つしかないんだよ。
先生が名前を挙げた3つのお薬はいずれも注射薬だから問題ないけど、経口薬(内服薬)だと「症状が治まったからもう飲まなくていいでしょ」と勝手に服用を中止してしまう患者さんって結構多いですよね、
すると僅かに生存していた菌が耐性を身につけて再び増殖してしまうのが、抗菌薬が効かない耐性菌が次々に出現するという現在の状況を生み出しているんですよね。
老若男女を問わず、薬の副作用に対して敏感な人が増えている気がしますけど、キチンと医師の指示を守って服用しないと駄目ですね。
病原菌と抗菌薬の戦いは、「不治の病」だった結核に対してペニシリンが開発された時から半世紀以上も続いているんや。ウチラは人類に対して互角以上の戦いをしてきたという自負があるんや。これからもガンガン行くで〜!
阪神タイガースが日本一になるか、淋菌が性病のナンバーワンになるかどっちが早いか競争や!ほな、ぼちぼち帰るで〜。
行ってしまったか。残念ながら、淋菌が言うことにも一理ある。2014年には世界保健機関(WHO)が、抗菌薬が効かない淋菌の脅威に対する異例の警告を行っているし、現在の数少ない特効薬であるセフトリアキソン(ロセフィン)が効かない事例も増えてきているんだよ。
ドラゴンボールに例えるならば、ただでさえ戦闘力の高いサイヤ人が、スーパーサイヤ人になったみたいなものだね。有効な抗菌薬をこれ以上減らすわけにはいかないから、患者さんが適正な薬の服用をするのは勿論、医師や薬剤師もわかりやすい指導をこころがける必要があるんじゃないかな。
それと、性感染症の領域では"口は第二の性器"と呼ばれているほどの大きな感染源であることを覚えておいてほしいんだ。淋菌やクラミジアが喉に感染するのを予防するためには、フェラチオをする時でも男性にはコンドームを着用してもらうことが大事だよ。